災害心理研究所 The Center for Psychological Studies of Disaster

お知らせ

東日本大震災・原子力災害 伝承館における研究成果の展示について

 2020年9月,福島県双葉町に東日本大震災・原子力災害伝承館がオープンしました。この施設は2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故について,その詳細を後世に伝え,経験と教訓を未来に残すために設立された施設です。

 私たち,福島大学 災害心理研究所は原発事故の直後から事故によって引き起こされた人々の精神影響について,その経過とメカニズムについて研究してまいりました。このたび,原発事故に関する私たちの研究データの一部が伝承館の常設コーナーに展示されることになりました。

 下の写真(右)がその展示物です。「子どもたちに外遊びをさせますか?」という質問が,ひときわ大きく目につきます。私たちが事故直後から福島県の母親たちに尋ねてきた質問の一つです。展示にはそのことが書けませんでしたが,この質問は,福島で生活を続ける母親たちの不安の大きさ(強さ)を尋ねたものです。この質問の結果から,福島県の母親の放射線に対する不安がいかに大きいか(強いか)を知ることができると考えています。

 この図は黄色い部分「外遊びさせない」だけに注目してしまうと,事故から5年後の2016年には,子どもに外遊びをさせない母親がいなくなったように解釈されてしまうかもしれませんが,実はそうではありません。黄色の「外遊びさせない」は確かに2016年の円グラフでは減少したのですが,その代わりに「ときどきさせる」が増加したに過ぎないのです。この図の赤い部分「外遊びさせる」は,2016年になっても他県(写真の左上に小さく)にははるかに及んでいません。ここから事故の深刻さを理解いただけましたら幸いです。

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