災害心理研究所 The Center for Psychological Studies of Disaster

福島の母たち・若者たちの心からの声を発信するプロジェクト

原発事故が起こったことが分かった後

ペンネーム S
原発事故当時に居住していた市町村 福島市飯野町
避難について 原発事故発生後1週間程度宇都宮のホテルへ
その後3週間ほどいわき市に避難、その後福島市に帰還
家族構成 父 母 姉 祖母
投稿区分 学生である


 原発事故が起こったことが分かった後すぐに福島市でも放射能が危ないということで,両親と姉とともに宇都宮へ避難しました。この時,いわき市に住んでいる母方の祖父母と叔母の家族も一緒でした。父方の祖父母は飯野町から避難はしないという決断をしていたため別での行動になりました。近所のお年寄りの方たちはほとんど避難をしていなかった為,やはり長年暮らしてきた場所から何週間も離れるということをしたくないのかなと感じました。幸い飯野町はそこまで甚大な被害はありませんでしたが,帰還した後家に入るとやはり余震で部屋の物が倒れていたり,壁に小さなヒビが入っていたりしていました。もし倒れたものが大きなもので体に当たったり,ヒビが大きく壁が崩れてしまったりしたら...と考えるととても怖いことだなと身に染みて感じることができました。長年暮らしてきた場所から離れがたいという気持ちや家を出るほどのことはないだろうという過信はわかりますが,自分の命を第一優先に考えれる人がこの震災を通してより増えたのではないかと思いました。

 原発事故後からしばらく,母は私たち娘には福島県産の作物はなるべく使用しないように食事を作ってくれたり,いつまた大きな余震が来ても大丈夫なように非常食や日用品や水などを貯蓄しておくようになりました。家族を守るためにできることをたくさんしてくれていた両親はきっと大変だったと思います。震災時はもちろんですが,震災後の心のケアであったり,身の安全を守ることが小さな子供をもつ親は非常に大変だったのではないかと感じます。

 

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