災害心理研究所 The Center for Psychological Studies of Disaster

福島の母たち・若者たちの心からの声を発信するプロジェクト

岩手県北上市という内陸で

ペンネーム T.
原発事故当時に居住していた市町村 岩手県北上市
避難について なし
家族構成 父、母、私、妹、弟
年齢 20歳代


 私は岩手県北上市という内陸で育ちました。沿岸部よりは被害は少なく、津波の映像や逃げ惑っている人々をスマートフォンの画面で見ていました。当時は小学生ということもあり今の状況に対して深く考えることはできていませんでしたが恐怖感に襲われていたのは覚えています。津波は経験していませんが大きい地震を経験して停電、断水の中、生活することを強いられていました。近所では家が崩れたりしていたので親が仕事で家におらず、1人で家に残されていた友達を呼び一次避難を行うように親と動きました。また、今まで不自由なく生活していたのに、急にテレビも見られない、水は出てこないとなると不便極まりなく、小学生の僕にとってはすごく大変な生活ですが、この経験は私の成長には大きく関わったと思います。物を大事に扱う、節制する、環境を整えるということがこの状況で無意識に行われたことにより、小学生ながらも視野が広くなったと感じています。また、多くの人々が傷ついたことで他人の心の内について気を使うこともできるようになったと感じています。辛い人がいたらなるべく励ますような言葉を考えて、慎重に伝えるというコミュニケーションにおいてとても大事なことに気づけました。課外活動などで沿岸部に学びに行った時も瓦礫だらけの港を見て自然に対する人々の小ささや儚さを感じ、復興という過程の中で希望を見出すことにより私自身の人生の教訓にもなりました。そして、困難に打ち勝つための辛抱強さに変換することができました。

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