災害心理研究所 The Center for Psychological Studies of Disaster

福島の母たち・若者たちの心からの声を発信するプロジェクト

自分で得る情報の大切さ

氏名 神谷萌
原発事故当時に居住していた市町村名 愛知県豊田市


私は大学に入学するまで,福島どころか東北にすら来たことがなかった。また私は幸いにも,災害の悲惨さや大変さ、怖さを経験したこともなかった。そのため福島県は原発事故で大変だった県,程度の認識しか持っていなかった。しかもその原発事故に対しても理解が浅かった。災害復興は大変らしいが,最近はニュースでも取り上げられることも少ないしほぼ完全に災害前の生活に戻ったのだろう,くらいに思っていた。そんな私だからこそ,福島に初めて来て新しく知ったことがたくさんあった。

実際に福島大学や福島駅周辺に訪れてみると、特に復興とか災害の爪痕とかは目立ったものはなく、災害前の生活を取り戻していると感じた。特に,水が美味しかったのが印象的だった。他にも,大家さんからいただいた福島県産の桃や梨もとても美味しかった。

しかし,大学の授業や福島の地方局によるテレビ番組で、まだ避難区域のままで家に帰れてない人たちがいること、完全な除染のためにはまだまだ時間がかかること、などを知った。小さいことだが,大学の近くの公園に設置されている看板にその場所の放射線量の値を記載する欄を見つけて,本当に福島で原発事故の影響を受けたという事実をほんの少しだが体感できたように思う。

まだ私が福島県に来てから2年も経っていない。それでも,私は福島のことを何も知らなかったのだと実感している。除染作業や避難困難地域,原発事故による農作物への風評被害など,短い時間ではあるが福島の現状についてたくさんのことを知れた。

福島について知り,理解を深めるためには,実際に訪れて福島の現状やこれまでの復興の努力を体感することが必要だと思う。そのための第一歩として,福島について自分から調べる状況になることが大切だ。例えば,旅行で福島を訪れることになれば,観光地をはじめに福島について調べるきっかけになると思う。母も私が福島で一人暮らしを始めてから,テレビで福島について取り上げられていたら,ついつい注目するようになったと話していた。福島の原発事故に限った話ではないが,自らの目で確認するからこそ理解できることがある。私は知ったつもりになっていただけだった。大変だったらしいという表面上の状況しか知らなかった。テレビから得られる受け身の情報だけでなく,自ら進んで調べて体感するからこそ得られるものがあるのだと,福島に来てから改めて実感した。

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